今回は森博嗣作の「喜嶋先生の静かな世界」を読んだので総評していきます。
あらすじ
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(2023/12/03 22:41:21時点 楽天市場調べ-詳細)
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文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。
学問の価値とは
僕自身大学に通っているのですが、あまり勉強してきませんでした。
むしろ、講義中はずっと寝たり漫画を読んだりしている典型的な堕落学生です。
作中でも、主人公は大学の講義は高校までの授業の延長ではないかという一種の絶望を感じており同じ気持ちを共有しました。
当たり前ですが、講義は教授が教える形の受動的な行為なので高校までの授業と一緒なのは自明です。
卒論も教授や院生から与えられた課題を解決するだけなのでやっていることは変わりません。
しかし、それ以降の研究は自分で課題を見つけ自分で導いていくという初めて能動的な学問になります。
今までただ与えられていただけの学問から、自ら問題を作り出す方の学問に変わる。
この自分で問題を作る過程に学問の面白さがあると気付かされました。
仮説を立てて、その仮説を立証していく。
問題を乗り越えた先にあるのは、さらに高い問題であるという崇高さ。
ここに学問の価値、面白さがあるのではないか。
そう思わせてくれた良書でした。
大学生のみならず、学問を志す全ての人に刺さる森博嗣ワールド全開の作品です。